『ワイルド・スピード/スーパーコンボ(Fast & Furious Presents: Hobbs & Shaw)』を観た。
シリーズのスピンオフでありながら、本編よりこっちの方が好きだ。
好きすぎておそらく5回は見た。
いや、もはやこれが本体じゃない?
理由ははっきりしてる。
“筋肉の神”ドウェイン・ジョンソンと、“ハゲの暴走兵器”ジェイソン・ステイサムの、この2人の掛け合いが最高すぎる。
ひたすら口ゲンカして、殴り合って、爆破して、最後はなぜかサモアで家族総出の土着バトルが始まる。
全体的にIQはマジで下がるんだけど、構成は意外とちゃんとしてるのがまた腹立つ。
焦げ団子そんな筋肉とツッコミのデスマッチ映画『スーパーコンボ』を、団子的に焦げ解剖していくぞ。
ワイルド・スピード/スーパーコンボ|ネタバレあらすじ
舞台はロンドン。
ある日突然、黒ずくめのサイボーグみたいな男が現れる。名前はブリクストン。
元MI6、現在はAI企業に魂売った自称・人類の進化形。
しかも中二病をこじらせたような演説付きで、「人類を進化させるために地球を征服する!」とか言い出す始末。
で、彼が狙うのが、とあるウイルス。
そのウイルスをMI6の女スパイが自分の体に注射して逃亡するところからすべてが始まる。
ちなみにこの女、あとでわかるけどステイサム演じるショウの実の妹。
これだけでもう設定が渋滞してるのに、政府はここであろうことか、元・敵同士のホブス(ドウェイン・ジョンソン)とショウ(ジェイソン・ステイサム)をチームとして呼び出す。アホか。
案の定、会って早々にケンカ開始。
お互いの顔面を罵倒しながら、CIAの部屋でガチで取っ組み合う。
このへんで観客はすでに悟る。



「あ、これは地球を救う映画ではなく、筋肉と罵倒で地球がどうにかなる映画なんだな」と。
その後はもう、IQを手放して観るべき展開のオンパレード。
ロンドン→ロシア→サモアと、どう考えても意味不明な地理移動を繰り返しながら、妹を守り、ウイルスを抜き出すためにあらゆる物理的手段で問題を解決していく。
電気イスで拷問されれば筋肉でぶち壊し、敵に追われたら車で逆走して爆破、研究所に入るときはステルス作戦のはずがバレバレで殴り合い。
全部の問題に対して話し合いとか計画という概念が一切出てこない。
代わりに出てくるのは、パンチと車と筋肉と、あとホブスの笑顔。
ラストは舞台がサモアに移り、ホブスのファミリーと共に伝統の武器でハイテク武装集団に挑むという、完全に精神で戦う局面に突入。
なんなら敵のヘリコプターにトラックを鎖でつなげて引き止めるシーンでは、物理法則が「筋肉」に屈服したのがわかる。



あいつほんとに人間か?
そしてフィナーレ。
ホブスとショウが、互いに信頼していなかったくせに「俺が囮になるからお前が殴れ」みたいな絆バトルを繰り広げ、同時攻撃でAI強化男をぶっ飛ばして地球を救う(※だいたい筋肉で)。



ここで題名「スーパーコンボ」の伏線回収…ってやかましいわ!!
で、ラストはなぜか妹と家族がわちゃわちゃしてハッピーエンド。
ワイルド・スピード/スーパーコンボ|見所
ここからはネタバレ全開でワイルド・スピード/スーパーコンボ(Fast & Furious Presents: Hobbs & Shaw)の見所を紹介していくぞ!
ホブスとショウの筋肉バディ、罵倒で世界を救う
『スーパーコンボ』の真の主役はウイルスでも敵AIでもなく、この二人のバカげたケンカである。
ホブス(ドウェイン・ジョンソン)は筋肉で正義を貫くゴリラ。
ショウ(ジェイソン・ステイサム)はスマートぶって毒舌をぶちまける英国の暴走機関車。
そんな二人がチームを組まされた時点で、世界より先に理性が崩壊する。
登場して3秒で口喧嘩。
「てめぇの顔面は生理的に無理」みたいな口ゲンカを延々続け、そのまま任務に突入してもまったく息が合わない。
てか、お前らなんでビルから飛び降りながら空中戦してんの?
中盤、敵を追いかけて高層ビルの外壁から飛び降りる場面。
ホブスはワイヤーでスパイダーマンみたいに降下。
ショウはエレベーターでゆっくり降りる。
その間ホブス、落ちながら敵にパンチ入れてる。
空中戦。地上何百メートルだぞ???



もはや「重力」という概念すら筋肉で上書きしてる。
ロンドンで大爆走 → 警察ゼロの謎
さらに意味不明なのが、ロンドンの街中でカーチェイス&銃撃戦&バス破壊までやってるのに、パトカーが一台も来ない。



てめぇらロンドンバスぶっ壊して穴あけといて何食わぬ顔で次のシーンに行くな。
街の人たちも「またか…」みたいな顔でスルーしてるのが一番怖い。
ロンドン、治安どうなってんの?
電気イスで拷問 → 爆破 → 走って逃げる(全部フィジカル)
敵に捕まって「拷問シーンかな?」と思いきや、電気イスに座らされてもホブスがにやつく。
一般人なら即死する電気を何度も流されても苦しそうな雰囲気だけ出して全然へっちゃら。
ショウもノリノリで妹救出して、そのままその場でぶち壊して脱出。
作戦?計画?そんなもんない。
目の前に壁がある?じゃあ殴って抜けるだけ。
この映画における問題解決フローは、完全にこれ。
- ぶん殴る
- 壊れる
- それでなんとかなる
そして終盤の連携バトル、「俺が殴られる間にお前が殴れ!」
最後、二人の友情が結晶化するシーン。
ついに息を合わせて、「同時に殴るのは無理だから、俺が囮になる」作戦に出る。
いや、今までずっと罵り合ってたくせに、「お前のパンチを活かすために俺が痛い目に遭う」って最高かよ。



お前ら今すぐ結婚しろ。
黒幕とAIヴィラン、雑に処理されすぎ問題
まずさ……あれだけイキってたブリクストンが、ラスト一言「お前はリコールだ」って言われて勝手に死亡すんの何なん???
いやいやいや、「俺は進化した」「人間は淘汰されるべき」とか言ってたやつが、声だけの謎AIにキルスイッチ押されて終わりって何???
しかもその黒幕、最後まで顔見せないまま終了。
結局誰だったのかすら不明。



続編フラグは立ってたけど、あの扱いは完全に「とりあえず放り込んどけ」感すごすぎ。
ワイルド・スピード/スーパーコンボ|撮影現場の雰囲気、絶対良かったろこれ
逆にさ、あの超どうでもいい罵倒バトルのテンション見てると分かる。
これ、現場めちゃくちゃ楽しんで撮ってたやつやん。
たぶんホブスとショウ、本番中に本気でアドリブで言い合いして、そのまま採用されてる。
ドウェインとステイサムの掛け合いが異常にテンポ良くて、「脚本通りじゃないだろこれ」って感じがずーっと続く。
だから、観てる側もずっとニヤニヤ止まんない。
ていうかあんな命がけのアクションの裏で罵倒合戦続けてるの、明らかにキャストが楽しんでる証拠だよな。



黒幕?AI?そんなもんより、
“撮影現場のノリ”がこの映画の真の黒幕だろ。
脚本がどうとか伏線がどうとかじゃない。
「ドウェインとステイサムを喧嘩させたら映画になる」という、それだけで2時間回せる奇跡のバディムービーだった。
ワイルド・スピード/スーパーコンボまとめ|これは“頭が悪い”んじゃない、“頭を置いてけ”って映画だ。
『スーパーコンボ』は、筋肉・爆破・車・暴言・家族・物理崩壊・AI・友情・サモア――
いろんな要素がてんこ盛りなのに、最終的には「ホブスとショウのケンカが全て」って映画だった。
ストーリーの整合性?伏線?リアリティ?
そんなもん、車に乗せてトンネルに突っ込んでる間に全部爆発してんだよ。
むしろこの作品に必要なのは、「話の筋」じゃなくて「筋肉の筋」。
でもよく見れば、構成はちゃんとしてるし、バディ映画としてのツボも押さえてるし、バカ映画を本気で仕上げたプロの仕事でもある。
バカであることを自覚した上で、全力で駆け抜けてる潔さが気持ちいい。
バディ映画好きにも、ワイスピ好きにも、そして何より、「最近の映画は頭使わせすぎなんだよ!!!」って人にも、これ以上ないご褒美映画だった。



団子的には、
最高に頭が悪くて、最高に楽しい2時間だったわ。
観終わったあとIQ下がったけど、テンションは爆上がりした。
それでいいじゃん、映画なんだから。
まだワイスピの車が地面を走っていた頃の話


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