今やパソコンやスマホで誰でも文章が打てる時代。
でも、かつては文字を打つことそのものが専門スキルであり、「タイピスト」は女性の憧れの花形職業だった。
そんな時代が本当にあった。
オフィスに響くカタカタという打鍵音。
制服姿で背筋を伸ばし、黙々とタイプライターを打つ女性たち。
昭和の雑誌広告では「美人タイピスト募集」なんて言葉もあったほどだ。
今となっては「何それ?」と言われそうな職業だけど、タイピストは女性が社会に出て働くことの象徴的な存在でもあった。
今回はこのちょっと懐かしくて、でもどこか新鮮な「タイピスト」という職業について掘り下げていくぞ
【関連記事】タイピストの進化版キーボードの歴史についてもまとめてます!

タイピストってどんな仕事?

タイプライターを使って書類や手紙を打ち込む、それがタイピストの主な仕事だった。
今でいう「文字入力」や「データ入力」と同じように見えるかもしれないけど、当時はタイプ専門の職業として独立してたのがポイントだ。
文字を書くための道具は、今のように軽く叩くだけで済むキーボードじゃない。
タイプライターは打鍵の力も必要だし、ミスっても修正テープもない。
だから、一発勝負の正確さとスピードが求められた。
タイピング速度が早ければ早いほど「できる女」として重宝された時代でもある。
加えて、ただ文字を打つだけじゃなく、書式を整えたり、封筒の宛名を指定された形式で書いたりと、ビジネス文書に必要なルールやマナーもばっちり覚えておかないといけない。
さらに一部のタイピストは、英語の文書を打つ仕事もあって、英文タイプスキルを求められることもあった。
つまり、「事務のプロフェッショナル」かつ「スピードと正確さの化身」。
当時の女性たちにとって、タイピストは華やかでカッコいい仕事というイメージすらあったのだ。
タイピストという職業|なぜ女性に人気だったの?
昭和の時代、タイピストは女性が憧れる職業のひとつだった。
理由はシンプルで、まず「オフィスで座って働ける」ってのがデカかった。
当時の女性の就職先って、工場・看護助手・販売・飲食のウエイトレスとかが定番で、体力勝負の立ち仕事がほとんど。
そんな中で、都会のビルの中で机に向かってタイプを打つ、っていうのは、ある意味知的で華やかなイメージがあったんだよな。
しかも当時は「女性=お茶くみ・電話番」みたいな風潮があった時代。
それに比べて、タイピストはスキル職。
ちゃんと技術を身につけて、お給料も少しよくて、なんなら「英語タイピスト」はちょっとしたエリート扱いされたりしてた。
制服がかわいい、タイピングがカッコいい、オフィスで働いてて都会的。
そんな「理想の女性像」みたいなイメージが、雑誌や求人広告にもよく出てた。
もちろん、現実は締切に追われるし、タイプミスも許されないし、めちゃ大変な仕事だったんだけど……それでも「ちょっとカッコいい女性の仕事」としてのブランドが、しっかり確立されてたんだな。
タイピスト|どうして消えた職業になったのか?

一時は花形職業だったタイピスト。
焦げ団子でも今、求人を探してもその名前はまず見かけない。なぜ消えてしまったのか?
最大の理由は、「誰でもパソコンを使える時代になったから」。
昔は、文章をキレイに打ち込める人って貴重だった。
タイプライターは専門的だし、キー配列も独特だし、打ち間違えたらやり直さないといけないし…とにかく「タイピングスキル=専門職」だったんだよ。
ところが、時代が進んでパソコンが普及すると話が変わる。
ワープロソフトが出てきて、誰でも簡単に文書作成ができるようになった。しかも誤字は一発で直せるし、レイアウトも美しく整うし…技術としての“差”がなくなっていったんだな。
さらに言うと、「パソコンスキルは事務職の基本」みたいな流れが加速。
「打つ人」と「指示する人」が分かれてた時代は終わって、「自分で打て」の時代が来たってわけだ。
しかも、メールやチャットも普及して、わざわざ「清書して提出」みたいな文化も衰退。
“打つ”という行為自体が、特別な仕事じゃなくなった。
そうやって、タイピストは静かに姿を消していった。
消えたというより、溶け込んだって表現のほうが近いかもしれない。
令和の今、あえて“タイピスト的”な仕事ってあるのか?


タイプライターのカタカタ音が懐かしい時代から早数十年。
現代のビジネスシーンでは、パソコンは誰でも使える前提になったし、「タイピングスキル」は前提スキルになってしまった。
でも、「あえて」“打つことに特化した仕事”って、まだあるんじゃないの?



…ってことで探してみた。
結論:実は、現代にも“タイピストの魂”を受け継ぐ職業はある。
たとえば、テープ起こし(文字起こし)ライターとか。
議事録、インタビュー、会議音声などを正確に文章化する仕事で、早さも正確さも求められる。まさに現代の打つ職人だ。
あとは、裁判所の速記官や、リアルタイム字幕入力者(字幕オペレーター)も近い。
こういった職種は、打つことが専門技術として成立している世界。
さらには、データ入力専門職も。これは単なる入力だけでなく、正確性・スピード・チェック能力も求められるから、なめちゃいけない。
つまり、表向きには消えたように見えるタイピストだけど、「情報を文字にする」こと自体は、今でも立派なスキルとして生き残ってるってわけ。



ちなみに団子には超絶苦手な分野の仕事だ!
タイピストという仕事が教えてくれること|まとめ
かつての日本において、「タイピスト」は女性たちが憧れる“オフィスの華”のような存在だった。
美しいタイピングスキルは一種のステータスであり、職場における「女性の活躍」の象徴でもあった。
けれど時代が進み、ワープロやパソコンの普及とともに、特別なスキルだったタイピングは、当たり前のスキルへと変化していく。
今では「タイピスト」という職種そのものが、ほとんど姿を消してしまった。
でも、完全に消えたわけじゃない。
「文章を打つ」という行為の価値は、今も変わらず残っている。
誰かの言葉を、正確に、丁寧に、届ける。
黙々と作業するその姿には、きっと今の時代にも通じる美しさがある。
そして何より、この職業の歴史は、
「女性たちが社会の中でどんなふうに働き、どんな未来を切り開いてきたか」
その軌跡を静かに語ってくれているのかもしれない。



パソコンに慣れすぎた今こそ、タイピストみたいな静かで正確な美しさに、ちょっと憧れを感じたりもするぞ!
【関連記事】タイピストの進化版キーボードの歴史についてもまとめてます!


その他歴史系コラムはこちら!




歴史カテゴリの最新記事











コメント