光が届かない。
天井も、出口も、見えない。
血の気が引くほど狭い隙間を這いずり、奥へ奥へと進むしかない。
そこに集められたのは、6人の女たち。
しかもその洞窟は、“地図にも載ってない場所”。
いろんな意味で、「あれ?これもうダメなんじゃ?」という空気が漂ってくる。
しかもその中には、過去の因縁を引きずったメンバーもいて――
怪物が出てくる前から、人間関係がすでにホラー。
イギリスのホラー映画『ディセント(THE DESCENT)』は、「暗闇・閉所・人間不信・血まみれ」がすべて詰め込まれた、地底サバイバルホラーの傑作。
焦げ団子最近再視聴して、中学の頃に観たとき焦げ団子がトラウマになったのも当然だなと再確認した。
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『ディセント(THE DESCENT)』ネタバレあらすじ:暗闇より怖いのは、人間のほうだった


怪物より怖いのは、仲間だった。
事故で夫と娘を亡くした主人公・サラ。
その傷を癒すべく、1年後に女友達たちと洞窟探検へ向かうことになる。
集まったのは6人の女たち。
リーダー格のジュノ、冷静なベス、陽気なホリー、双子の姉妹レベッカとサム、そしてまだトラウマを引きずってるサラ。
現地に着いたはいいが、ジュノの「サプライズで新しい洞窟に案内してみた」ムーブにより、地図もなし、脱出経路も未確認、完全に詰みコースが確定。
で、進入して数十分後にはあっさり出入り口崩落。



「帰れません!」のお知らせ。
狭い。暗い。何も見えない。
サラが“暗闇になんかいる気がする”って言っても誰も信じない。
でもやっぱりいた。
クロウラー(地底適応型の人喰い怪物)たちが、全方位から襲ってくる。
このへんから一気にバイオレンス&地獄絵図突入。
- ホリー:脚折れ → 怪物に引きずられ死亡
- サム:宙吊り → 喉ぶっさされ死亡
- レベッカ:助けに来て串刺しにされ死亡
- ベス:ジュノのピッケルが喉に刺さって死亡(事故)
で、問題はここから。
ベスを刺したジュノが「何も見てないフリして置き去りにする」という大罪を犯す。
しかもこのジュノ、実はサラの夫と浮気してた過去あり。
もうこれ、怪物いなくても血の雨が降るやつ。
最終的にサラはベスからすべてを聞き、クロウラーをバッタバッタと叩き潰し、ラストはジュノの足をぶっ刺して置き去りにするというカウンター復讐をかます。
そして洞窟から脱出――
かと思いきや、最後の最後でこれは幻覚で、本当はまだ地底にいるという超後味の悪いエンディング。
サラの視線の先には、亡き娘の幻影と、どこまでも続く闇。
『ディセント(THE DESCENT)』感想レビュー・見所
ここでは映画『ディセント』の見どころをご紹介していくぞ!
冒頭5分であんな事故ぶち込むな
いきなりだけど、『ディセント』の冒頭はホラー界屈指の「心の準備ゼロでくる衝撃事故シーン」である。
家族でラフティングを終えた帰り道、サラは夫と娘と車に乗って帰宅中。
その何気ない車内で、対向車が積んでいた鉄パイプが鉄パイプが飛び出して、フロントガラスを貫通。
助手席にいた夫とさらに後部座席の娘にも直撃する。
しかもありえる事故ではあるので妙に生々しい。
あとから振り返っても、地底の怪物たちよりこの冒頭5分の方がメンタルに来る。



そりゃトラウマにもなるわ。
地底より怖い、女のドロドロ
怪物に襲われるより怖いのが、女6人の空気。
もう洞窟に入る前からなんかビリビリしてんだよ。
「このグループ、表面上は仲良さそうだけど、絶対なんかあるやろ」感がすごい。
特にジュノ。
登山でもスピード出しがち、声もデカい、アタシが引っ張る!感出してるけど、他のメンバーが「あ〜…うん」って目をしてるのがマジで怖い。
あれ見てるだけで地底より冷える。
しかもこいつ、サラの夫と過去に不倫してた。
つまり「自分が事故の遠因作ったくせに、親友ヅラして旅行に誘ってきてる」っていう、ホラー抜きにしてもヤバい女。
で、決定的なのがベスの件。
暗闇の中、パニック状態でジュノがピッケルを振った瞬間――後ろにいたベスの首に直撃。
事故とはいえ、刺さった瞬間に
あ、やっちゃった……
てかこれ、見なかったことにして黙って立ち去ればバレなくね?
ってな感じでそそくさ去るジュノの背中、怪物よりよっぽどホラーだった。
そりゃあ後にサラが復讐に走るのも納得。



むしろ刺されなかったら観てるこっちが怒るレベル。
不倫キャラって、だいたい酷い死に方する説
これもう、洋画ホラーの鉄板すぎる法則なんだけど――「不倫キャラ、基本的に生き残らない」。
やらかした奴は、最終的に物理的にも社会的にも生き残らないのがテンプレ。
もうこれは、ホラー映画界に存在する因果応報ノルマなのか?
「倫理的に間違ったことをしたら、だいたい怪物にやられるか自滅する」っていうホラー神からのメッセージなんじゃないかってくらい徹底されてる。



ジュノ、お前はモンスターにやられたんじゃない。
“お前が撒いた因縁”で自滅したんだよ。
撮影の裏話がギャップ強すぎて混乱する
ちなみにこの『ディセント』ブルーレイ特典で観た撮影風景、地底ホラーとは思えないくらい陽キャ空間だった。
- クロウラー役の人たち、素顔のままで笑顔&ノリノリで踊ってる(地底クラブ)
- 女優6人も、撮影の合間に爆笑しまくってて、修学旅行かよってレベルで仲良し
- 洞窟のセット、実はミニサイズで明るくて清潔感ある(湿気ゼロ)
で、本編はっていうと、血みどろ、裏切り、パニック、悲鳴、地獄。
この落差、人間のON/OFFの怖さそのものじゃね???
ラストのエンディング、じつは国によって違います
『ディセント』、日本で普通に流通してるDVDやブルーレイに収録されてるのは、あのサラは出られたと思ったら幻覚で、実はまだ地底の鬱エンドver。
つまり娘の幻影とケーキのロウソクで終わる、完全絶望パターン。
でもアメリカ公開版では――
クロウラーぶっ倒す
→ 洞窟から脱出
→ サラ、車で逃げる
→ 隣にジュノ(?)の亡霊がいてギャー!!!
ってとこで終わる、幻覚シーンを丸ごとカットしたverになってる。
理由はシンプル:アメリカの観客には、バッドエンドは受けないから。
配給元が「こっちは希望ある方でいこう」ってカットしたらしい。



結果、続編作られるとき超困ったんだけどな…
『ディセント(THE DESCENT)』まとめ
いろいろと思い出深い作品だけど、女のドロドロ人間関係や、狭くて暗くて血まみれなホラー演出、どれをとっても、低予算とは思えない完成度だった。
怪物よりも人間の方が怖くて、暗闇よりも空気が怖くて、生き延びるってなんだよって気持ちになる。
ラストは賛否あるけど、「助かったと思わせておいて、やっぱまだ地獄」
この絶望感こそが、この映画の本領だったと思う。



明かりのない地底で、最後まで光は届かない。
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