『星の王子さま』。
子どもの頃は、なんかオシャレな絵本だなーくらいで流し読みしてたくせに、
大人になって読むと「うわ、今の自分に言ってるやん…」って
心にズドンとくるタイプの哲学童話。
その中でも
読む人の経験や年齢によって刺さり方が変わる名言がいくつもある。
今回は焦げ団子がガチで「これは来た」と思った名言を5つ厳選して
団子的ぶった斬り解釈でお届けする。
お話の中身に関してはこちらで語ってます!

今回取り扱う本はこちら
星の王子さま/サン=テグジュペリ (著), 浅岡 夢二 (翻訳)
※ 他の作家さん一覧はこちらからどうぞ。→[焦げ団子の推し作家・人物一覧]
「何があるのかざっくり見たい」という方は、先にこっちから眺めてもOK。
①「大切なものは、目には見えないんだよ」
On ne voit bien qu’avec le cœur. L’essentiel est invisible pour les yeux.
「お前、それ本質見てるつもりで外側しか見てないぞ」っていう爆弾。
このセリフ、いろんな人が引用してるけど、
本気で意味を噛みしめられるのは、たぶん傷ついた経験がある人間だけ。
- 「あの人、昔はあんなに優しかったのに」とか
- 「外から見たら完璧に見えるかもしれないけど、なんかしんどい」とか
目に見えない部分こそが、その人の本質だったりする。
愛も友情も信頼も、見えないけどちゃんと“ある”。
SNSのフォロワー数より、黙って寄り添ってくれたあの一言のほうが重い。
②「君がそのバラに時間をかけたから、そのバラが大切なんだ」
C’est le temps que tu as perdu pour ta rose qui fait ta rose si importante.
「かけた時間」は、特別をつくる一番リアルな魔法。
どんなに美人でも、どんなに優秀でも、
心をかけた時間がない人は結局すぐ記憶から消える。
逆に
- 一緒にイライラしたり笑ったり怒ったり
- どうでもいい話をしすぎて腹立をたてたり
- 面倒くさくても不器用で何を考えてるのかわからなくても
そんな手のかかる人のほうが、それが愛嬌となり後からじわじわ「愛着」として人々の心に残る。
“好き”っていう感情は、記憶と手間の塊なのかもしれない。
③「人間たちは時間がなくて、何も理解しようとしない」
Les hommes n’ont plus le temps de rien connaître. Ils achètent tout tout fait chez les marchands.
即レス・即断・即成果じゃ、本当の理解はできない。
今って、わかった気になれる情報ばっかりで溢れてるけど
ほんとは、誰かのことを知るのにも、
関係を築くのにも時間がいる。
それを全部スキップして、便利だけ手に入れようとしても
残るのは「関係ごっこ」だけ。
人間関係に「ダウンロード版」は存在しない。全部育成型だ。
④「大人たちは、自分だけでは決して何も理解できない」
Les grandes personnes ne comprennent jamais rien toutes seule.
わかってるつもりの大人が、実は一番わかってない説。
大人になると、「聞かなくてもわかる」「経験あるから理解できる」って
勝手にわかった気になって、他人の話をスルーしがち。
でもこの一言、シンプルだけどかなりキツい。
「自分だけでは絶対に理解できない」=人は他者なしじゃ真実にたどり着けない。
恋愛でも,友情でも、仕事でも
「察してほしい」とか「わかるはず」は全部“自分都合”。
人の気持ちって、ちゃんと聞かないと一生わからん。
大人になるって、賢くなることじゃなくて、
“わからない”って言える勇気を持つことかもしれない。
⑤「キツネが泣いた。『また会えるのにね』と言った。」
Et il s’assit et pleura.
(そしてキツネは座り込んで、泣いた。)
Tu vas pleurer ! dit le petit prince.
(「君、泣くんだね」王子さまが言った。)
Bien sûr, dit le renard.
(「もちろんだとも」キツネは言った。)
Tu n’y gagnes rien !
(「そんなの、なんの得にもならないじゃないか!」)
J’y gagne, dit le renard, à cause de la couleur du blé.
(「得るものはあるさ。麦の色を見て、君を思い出せるから」)
(邦訳によって若干差異あり)
別れは悲しいけど、それは「絆ができた証拠」。
この一文、泣ける。
普通だったら「また会えるんだから泣くなよ」で終わりそうなのに
この物語では、「もう星の王子様には二度と会えないことを悟って」キツネは泣く。
なぜか?
それだけ、一緒に過ごした時間がかけがえのないものだったから。
涙が出るほどの関係を築けたことが、もうミラクル
焦げ団子的まとめ:「名言は、“読み手の人生”で意味を変える」
『星の王子さま』の名言って、
その時の年齢・状況・感情で刺さるセリフが変わってくる。
今日の5選は今の自分にとってのベストだけど
きっと5年後、10年後に読み返したら、また違う言葉に心打たれるかもしれない。
名言ってのは、自分の心の中にあるものを言語化してくれるセリフ。
あなたにも
「自分だけの一言」がどこかにあったかもしれない。
※『星の王子さま』本編のストーリーや哲学的意味を解説した記事はこちら:

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■関連書籍
星の王子さま/サン=テグジュペリ (著), 浅岡 夢二 (翻訳)