ディズニーやピクサー作品を見ていると、やたらワイヤー矯正をしているキャラが出てくるんだよな。
最初はなんでこんなに歯列矯正してるキャラ多いんだ?って思ってたんだけど、よくよく調べてみると、あれはちゃんと「文化の違い」が反映されている表現なんだ。
焦げ団子というわけで今回は、長年もやもやしてた「海外の矯正の感覚」を、ディズニー作品と一緒に掘ってみたぞ!
アメリカで歯列矯正が当たり前な理由|「歯=育ちと教養」という価値観
まずアメリカでの矯正の立ち位置についてご紹介していきたいと思う。
アメリカでは、子どものうちに歯列矯正をして、大人になってからも白くて整った歯をキープするのがほぼデフォルトなんだ。
虫歯がなくても定期的に歯医者にメンテに行くし、歯並びがガタガタだったり、黄ばんでいたりすると、
「ちゃんと治療を受けてこなかった=育ちが悪い・自己管理ができない」みたいな、だいぶ辛口な評価をされがちだ。(こっちの感覚で聞くと普通にキツい。)
統計をざっくり眺めてみると、アメリカでは、10代の7〜8割くらいが「矯正が必要/実際に受けている」と見積もられていたり、矯正歯科学会のデータだと、年間200万件以上の矯正ケースのうち半分以上が12〜17歳だったりする。
つまり「中学生〜高校生のあいだに矯正やっとく」のが、向こうではほぼ通過儀礼みたいなものなんだな。
さらに調査系のデータを見ると、
- 白くて真っ直ぐな歯の人は「知的・責任感がありそう・成功してそう」と見なされやすくて、
- そういう歯並びの人は、「賢そうに見られる確率がかなり高い」という分析も出ている。
戦後に中産階級が増えた流れとセットで、「ストレートな白い歯=中流以上のステータスシンボル」として固まっていった、なんて指摘もある。



要するに「歯並び」と「階層意識」がガッチリ結びついちゃってるわけだ。
日本だと、歯並びが悪くても八重歯かわいいとか多少歯並び悪くてもまあいっかくらいで済むことが多いのに対して、アメリカではかなり厳しめの“身だしなみ”扱いになっている。
この価値観の違いが、そのまま子ども向け映画のキャラ造形にもにじみ出てるんだよな。
ディズニーに見る歯列矯正キャラの変化|悪ガキ記号から「日常あるある」へ
ここからは、実際の作品を見ながら「矯正がどういうキャラ付けに使われているか」をざくっと見ていく。
『トイ・ストーリー』のシド:悪い歯=悪ガキのわかりやすさ
『トイ・ストーリー』(1995)に登場する、隣の家の少年シド。
おもちゃを改造しまくる、あの伝説の問題児だ。
歯並びはガタガタ・汚れた感じの歯・行動も乱暴で残酷というセットで描かれていて、「乱暴な子=だらしない歯」という記号付けがめちゃくちゃ分かりやすい。
歯そのものが、性格の荒さや家庭環境の荒れを表すアイコンとして使われているんだ。



「見た瞬間にヤバい子ども感が伝わるデザインにしてあります」って感じ。
『ファインディング・ニモ』のダーラ:ワイヤー矯正のイヤな感じ
一方で、『ファインディング・ニモ』(2003)に出てくる歯医者の姪っ子・ダーラ。こいつもデザインがやばい。
顔の半分くらい目立つブラケット・魚には容赦ない・水槽の魚たちからは完全に「死神」扱いというキャラ付けで、「ちょっと意地悪で騒がしい子」の記号として、ワイヤー矯正がフル活用されているんだ。
ここがポイントで、ディズニーの映画によっては「歯がガタガタ=悪役」「ギラギラ矯正=元気だけどちょっと厄介な存在」という、二段構えの記号になってる。
シドほど“根っからの悪”って感じじゃないけど、「また来た…勘弁してくれ…」と周囲に思われる厄介さの象徴として、あのギラギラした装置が使われてるわけだな。



矯正器具の風評被害がすごい。
『私ときどきレッサーパンダ』のミリアム&タイラー:日常の中の矯正
ちょっと新しめの作品だと、『私ときどきレッサーパンダ(Turning Red)』。
ここには、矯正キャラが二人いる。
- ミリアム:主人公メイの親友。公式でもbraces-wearing tomboy(歯列矯正してるボーイッシュ女子)って紹介されてるくらい、公式矯正キャラ設定。
- タイラー:クラスメイトの男子。前歯にブラケット矯正をしている。
ここがシドやダーラと大きく違うところで、二人とも悪役ではなく、普通にクラスの一員として登場しており、「矯正してる=性格が悪い・問題児」という扱いではない
つまりこの作品では、矯正は「2020年代のティーンの日常風景」の一部として配置されているんだ。



クラスに一人くらい、矯正してる子いるよねくらいの温度感にまで変化してるのがわかる。
『モンスターズ・ユニバーシティ』のマイク:ちゃんとリテーナーまでやる真面目さ
『モンスターズ・インク』の前日譚、『モンスターズ・ユニバーシティ』には、矯正治療を終えた後のマイクがちらっと出てくる。
子供の頃はワイヤー矯正してたけど、大学の頃にはすでに歯並びは整っていてそのうえでリテーナー(保定装置)をちゃんと付けているという描写があるんだ。
矯正は「装置が外れたら終わり」じゃなくて、そのあと歯並びをキープする保定期間があるんだけど、そこまでちゃんと描いているの、地味にすごい。
「治療を終えたあとも真面目にリテーナーをつける優等生モンスター」という、アメリカっぽい“まじめさ”まで含めて表現しているキャラなんだよな。
歯医者さんによっては、受付にマイクのフィギュアを置いてるところもあるらしい。



子どもに「ちゃんと装置つけようね」って言うときのマスコット、完全に適任だわ。
90年代と今で違う?ディズニー作品における歯列矯正の意味の変遷
ざっくり作品の時系列で並べてみると、アメリカにおける矯正の扱い自体がけっこう変化しているのが分かる。
① 90〜00年代:問題児・悪役の“記号”としての矯正
このあたりの時代だと、
- シド(悪ガキ+ガタガタの歯)
- ダーラ(魚殺しの恐怖+ギラギラの装置)
みたいに、ワイヤー矯正が「見た目が騒がしい歯・矯正=危ない/うるさいティーンのシンボル」として使われているパターンが目立つんだ。
もちろん、キャラとしては誇張表現なんだけど、裏には、
- 「ちゃんとケアされていない歯は“だらしなさ”の象徴」
- 「派手な矯正器具は、ちょっとダサくてイジられがちなもの」
という、アメリカ社会の歯コンプレックス+階層意識がうっすら透けて見える。



今これやったら差別やらなんやらで問題になりそうだな。
② 2010年代以降:普通の友達/陽キャ主人公へ
そこから時代が進んでくると、
- 『私ときどきレッサーパンダ』のミリアム&タイラー→ 「クラスの誰かは矯正中」が当たり前の世界
- 『モンスターズ・ユニバーシティ』のマイクのリテーナー→ 治療後の“保定”まできっちりやる真面目さの象徴
みたいに、「矯正=ティーンの日常あるある」として、かなりフラットに描かれるようになってくる。
悪役だけが矯正してるわけでもなく、「ちょっと変な子」だけのアイコンでもなくて、
- 真面目な優等生
- ただのクラスメイト
- ちょっとオタク寄りの陽キャ
みたいなポジションも、普通に矯正している。



装置自体の“ネタ感”は残しつつ、キャラの幅が広がってきた感じだ。
ディズニーの矯正キャラから見える、アメリカの歯列矯正文化のまとめ
ディズニーやピクサーに矯正キャラが多いのは、アメリカでは「歯=育ちと教養」のサインになっていて「白くて整った歯」が中流以上のステータスシンボルになっているという文化的土台があるからだった。
そこに、
- 90〜00年代は「悪ガキ・うるさい子の記号」としての矯正
- 2010年代以降は「日常のティーンあるある」としての矯正
という、表現の変化が乗っかってる。
日本側から見ると、「え、そんなところまで階層と結びつけるの?」ってちょっと引きたくなる部分もあるんだけど、だからこそ、歯の描かれ方だけでもその社会の価値観が透けて見えるんだよな。
今度ディズニーやピクサー作品を観るときは、キャラのセリフや性格だけじゃなくて、「口元に何がついてるか」も、こっそりチェックしてみてほしい。



ちなみに団子も歯列矯正(インビザライン)してるからよかったら矯正日記も見てくれ!
矯正日記第一話はこちら!


ディズニー映画についても色々語ってます






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