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『犬を盗む』ネタバレなし感想|犬と人と日常のズレが重なる静かな群像ミステリー【中山七里】
今回は、中山七里さんのミステリー小説『犬を盗む』をご紹介! 今作は殺人事件の現場から一匹のチワワがいなくなったことをきっかけに物語が展開していく。 刑事たちの地道な捜査、犬を飼う人々の生活、ぽつぽつと登場する別々の視点。 それぞれが少しずつ... -
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小説『変な地図』感想・紹介|シリーズの名脇役・栗原さんが主人公に!地図・妖怪・祖母の謎が交錯する雨穴さんの最新作品(ネタバレなし)
今回は、雨穴さんの最新作『変な地図』をご紹介! 『変な家』『変な絵』に続く、“変なシリーズ”の第4弾! 今回はホラーにミステリー、サスペンスに妖怪まで全部盛り。 しかも、シリーズの集大成とまで言われている作品となっている。 そして──シリーズファ... -
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【考察】雨穴さんの『変な家』がここまでバズった理由|間取りホラーという新ジャンルの発明と“文化”になった背景を読み解く【変な地図】
以前より『変な家』のYouTube動画(導入部のみ)が公開され小説・映画化もされ、一躍話題になった雨穴(うけつ)さん。 団子は彼の古参ファンで、指がぐるんぐるん回る奇妙な短編『Finger Panic』の頃から全部チェック済みだ。 そしてついに2025年、あの『... -
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『Level E(レベルE)』感想|冨樫先生が本気で遊んだ伝説のSFギャグ漫画が社会風刺の宝庫だった件
みなさんは、冨樫義博先生の異色SFギャグ作品『Level E』を知ってるだろうか? 『幽☆遊☆白書』『HUNTER×HUNTER』と、シリアス路線のバトル漫画で一世を風靡した冨樫が、ほぼギャグに全振りして描いたSF連作短編集──それが『Level E』である。 しかもこの作... -
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SF小説『冷たい方程式』考察|数式が命を決める世界の正しさとは?少女がルール通りに処刑される世界
みなさんは『冷たい方程式(The Cold Equations)』って知ってますか? 名前だけでも聞いたことがある人は多いかも。 1950年代に書かれた、トム・ゴドウィンのSF短編の名作なんだけど、今読むとビックリする。 「え、こんな理不尽アリ?」ってツッコミどこ... -
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【芦原妃名子】短編『月と湖』感想|浮気・不倫と“選ばれなかった人”のリアルすぎる描写
少し前にお亡くなりになった漫画家芦原妃名子さん 実は結構前から団子はこの漫画家のファンだった。 中でも芦原妃名子さんの短編『月と湖』。この話がとても好きだった。 一言でまとめれば、「祖父の愛人と暮らすことになった女子高生の話」。 でも、そん... -
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『人生を最大限に生きる』レビュー|自己啓発本の原点にして、最初の一冊に最適
本屋に行ったら、例のごとく“人生が変わる本”みたいなのがドーンと平積みされていた。 よく見るとタイトルが『人生を最大限に生きる』である。 意味が広すぎて、逆に何も言ってないタイトルのやつ。 普段ならスルーしてたと思う。 でもその日はたまたま気... -
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『夢十夜』第三夜が地味に怖すぎる件――血も叫び声もない、上品すぎる怪談
夏になるとホラーが増える。 でも血が出たり叫び声が飛び交うやつはもうお腹いっぱい。 そんな団子にちょうどいいのが、夏目漱石『夢十夜』の第三夜。古典のくせに、これが意外と怖いんだな。派手な演出ゼロ、音も光もない。なのに、ぞわっとくる。 いわゆ... -
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【感想】夏目漱石『三四郎』――上京して気づく「自分の小ささ」と、恋の片想いが胸に刺さる話
三四郎のあらすじ:東京に上京して「何もわかってない」まま翻弄される 上京したての世間知らず・三四郎が、東京という理解されない世界にぶつかりながら、恋と未熟さを通して成長していく――そんな物語。 上京して数年。いまだに駅構内で迷うことがある。G... -
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夏目漱石『夢十夜』第二夜――悟れなきゃ首も取れない、理不尽すぎる修行の夢
「え、第二夜だけ地味すぎない?」 百年愛のロマンチックな第一夜から一転、今度は悟れなきゃ首も取れない修行悪夢。 正直、これ読んで「何が面白いの?」って思ったやつ、安心していい。 救いも感動もゼロ。 出てくるのは、プライドこじらせた侍と、煽っ...