電車男は本当に実在したのか?――2ちゃんねる最大の伝説を今さら本気で検証する

「電車で助けた女性からお礼を言われた。
どうすればいいですか?」


2004年、2ちゃんねるに現れたひとりのオタクが、恋の実況を始めた。

――それが、ネット史に残る“電車男”の始まりだった。

書籍化・映画化・ドラマ化まで果たしたこの物語、
今でも語られるけど…そもそも「本当にいた」のか?


電車男/中野 独人 (著)

キツネとタヌキの変身文化、死に神の語源、漢字の成り立ちから夢の正体まで。
歴史ってこんなにヘンテコで、こんなに面白かったっけ?
▼他にも“クセつよ文化史”ネタまとめてます。

文化史コラムまとめ一覧→焦げ団子がひもとく文化の断面図一覧

目次

電車男とは?――2ちゃんねる発・ネット史上最大の恋愛実況スレ

まず知らん人のためにサクッと説明。
「電車男」は2004年、2ちゃんねるの独身男性板(通称:喪男板)に突如現れたスレ主。

「電車で酔っ払いから女性を助けた。
連絡先をもらった。どうしよう?」

このガチオタ男子の恋愛実況スレが、
「2ちゃん全体を巻き込む祭り」になった。

書籍化、ドラマ化、映画化、舞台化までされた
ネット史に残るおとぎ話

「作り話だろ?」説が出た理由

まずな、電車男って、最初はわりとみんな信じてたんよ。
ほんとにオタクが電車でお姉さん助けて、2ちゃんで相談して、しかも恋愛成就!?
…そりゃ“奇跡”って言われるわけだ。

でもな…
どうにも“出来すぎ”てる。
なんせ展開がドラマチックすぎる。

しかもスレ主(電車男)の語り口が、やけに文学的というか、
おまえ本当に喪男(もてない男)か?書き慣れてね?」みたいな違和感がちらほら。

報告タイミングも絶妙すぎて、「今盛り上がるとこやん!」って狙ったような感じが拭えない。

さらに当時の2ちゃんには釣り師
――つまり「ウソ話で住民釣って遊ぶ」って文化がガチであったから、
これもどうせネタやろ」って冷めた目で見るやつも、最初から一定数いたんだよ。

極めつけは、応援レスとか住民の盛り上げ方がちょい芝居がかってて
自作自演じゃね?」みたいな疑惑もぽろぽろ出てきた。

あとは、どれだけ話題になっても
オタクが酔っぱらいからお姉さんを助けたという目撃談や裏付けは出てこなかったし、
「本人とエルメスがリアルで目撃された」とか“決定的証拠”は結局出てこなかった

そりゃ「ウソくせぇ」ってなるわな。


こういう「出来すぎ感」「匿名のウソ文化」「証拠なし」
この三拍子揃えば、もう作り話説は定番コースよ。

団子的にも、最初はワクワクで読んでたけど、
途中から「いや、盛りすぎやろ…でもまあ夢見させてくれてありがとうな」って感じだった。

ただ、この話に関してひろゆきはYouTubeの配信にて
「飲み会の席で本人に会ったことがある」と明確に発言しており

「ガチで普通に電車男さんの話だと思ってます」
「朴訥な人なので、自分ででっち上げたら優秀すぎる」

とまで言っている。

このことから電車男本人が存在する可能性は高いがいずれにしても
その人が本当にエルメスと付き合ってたのか」までは不明。

あの頃のネットには、まだ夢を見る余地があった

さて、電車男が話題になったあの頃のネット――
今みたいに“証拠は?”“ソース出せ”ってピリピリした雰囲気じゃなかった。

みんな本気で信じてるような顔して、
実は半分くらいは「まあ、どうせネタだろ」って思いながら眺めてた。

でも、そうやって“真偽はどうでもいいからとりあえず楽しむ”っていう、
妙なゆるさが当たり前だったんだよね。

違う意見を言っても「へぇ、そんな考えもあるんだ」で済むことが多かったし、
今ほど「空気を読んで正解だけ出せ」みたいなムードも薄かった。

匿名の気楽さで、適度に距離を置きながらも、
“お祭りごと”はしっかり盛り上がる。

ネットって、本当はこのくらい適当な方が面白いのかもね。
なんて今のSNSを眺めながら、時々思ったりする。

それでも電車男は「本当にいた」と思われ続けるワケ

さて、電車男が本当にいたって話が今でも消えない理由はいくつかある。

まず、スレの流れや細かい描写がやけにリアルだったこと。
電車男の挙動不審ぶりや、オタクならではの戸惑い、周囲の応援のノリ。
「ここまで作り込めるものか?」って思わせる素のリアリティがあった。

それに、書籍化・ドラマ化・映画化と、一気にメディア展開が進んだのもデカい。
もし完全な作り話だったら、どこかでボロが出たり関係者がバラしたりしそうなもんだけど、
結局、決定的な否定は出なかった。

あと、「ネット民みんなで応援して、恋が成就する」っていう
そんなストーリーを信じたい、って気持ちもあったと思う。

真偽より、祭りの熱気応援する楽しさの方が大事だった、という側面もある。

…結局、「いなかった証拠」も「いた証拠」も出ないまま、
“本当にいたんじゃない?”っていう希望と余韻だけが、今もネットの片隅に残ってる――
そんな存在なんだと思う。

今だったら絶対バレてた。SNS時代じゃ成立しない理由

もし電車男のエピソードが現代SNS時代に起きてたら
正直、ここまで“伝説”にはなってなかったと思う。

いまは写真も動画も当たり前、SNSアカウントも何かしら持ってる時代。

ちょっとでも話題になれば、「証拠は?」「顔は?」「エルメスは誰?」って速攻で詮索されるし、
ネット探偵たちが本気を出せば、本人の身元も相手の素性も、あっという間に掘り起こされる。

仮に誰かが「付き合いました」なんて報告したら、
「その後どうなった?」と延々と追跡されて、
本当にカップル成立かどうかは早い段階でバレてただろう。

今のネットは美談をそっとしておく余裕なんてほぼゼロ
電車男みたいな話が「証拠なし」でここまで大騒ぎになること自体、もうほとんどありえない。

あの頃のネットにだけ許された、ちょっとした奇跡だったのかもしれないね。

団子的まとめ:電車男は“いた”のか、“いたことにした”のか

正直なところ…電車男が“本当にいた”のかどうか、
100%の真実は今となっては誰にも分からない。

証拠が出るわけでもないし、関係者が後になって名乗り出ることもなかった。

ただ、あのスレが祭りになったこと、
ネット住民みんなが「本当にいたらいいな」と思いながら見守っていたこと、
応援や茶化しや疑いのすべてが混じり合って“伝説”になったこと。

このあたりは間違いなく事実。

団子的には、「物語が本当だったかどうか」よりも、
あの夜、ネットのどこかでみんなが夢中になった

――その熱気自体が一番リアルだと思ってる。

「もしかしたら本当にいたのかもしれない」

そんな余韻ごと今もネットに漂ってる。
それで十分、伝説としては成立なんじゃないかな。

電車男、今頃どこで何してるんだろうね。――ふとそんなことを思った。


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