え、これ……チョコ欠けてない?
ある日ヨーロッパで売られていた板チョコを開けた人たちは、全員こう思った。
だって、板チョコの“1ピース”が最初からないのだから。
「製造ミスか?」
「溶けた?割れた?」
——いや、違う。これは意図的に“欠けた状態”で売られていたチョコなのだ。
このトリッキーな企画を仕掛けたのは、ヨーロッパでは誰もが知ってるチョコブランド、
Milka(ミルカ)。
紫色のパッケージに、ゆるめの牛のロゴ。
ドイツやフランスではお菓子売り場でガチの定番。
そんな大手メーカーが、「あえて1ピース欠けたチョコ」を出した理由とは?
しかも、この失われた最後のひとかけは、ある場所へ届けられる仕組みまであるという。
いったい何が目的だったのか?
なぜそんな手の込んだことをしたのか?
焦げ団子今回は、団子的にこの「謎の欠けチョコ事件」を解説していくぞ!


Milka公式商品・関連チョコレートはこちら
Milkaとは?ヨーロッパで人気の紫のパッケージの牛チョコとは


まず、Milka(ミルカ)って聞いてピンとくる日本人は、ほぼいないと思う。
でも、ヨーロッパに行けばわかる。このチョコ、スーパーのお菓子コーナーで絶対に目に入るやつだ。
なんせ見た目がすごい。
- パッケージはド派手なラベンダー色(紫)
- のんきな牛のイラストがでーんと中央に
- そして堂々のロゴ “Milka”
一度見たら忘れないデザイン。
このMilka、元はスイスのチョコレートメーカーとしてスタート。
今はモンデリーズ・インターナショナル(アメリカに本拠を置く世界的お菓子メーカー)傘下にあるけど、ヨーロッパではいまだに地元ブランドみたいに愛されてる。
ちなみに名前の由来は、「Milch(牛乳)+Kakao(カカオ)」=Milka(ミルカ)という合成ワード。
めちゃくちゃシンプル。
でもこのネーミングが、まさか100年以上ブランドとして残るとは……。
そして、Milkaのこだわりはアルプスのミルク。
つまり、ただの牛乳じゃない。
「アルプス山脈の大自然で育った牛のミルク使用!」と高らかに宣言してる。
ヨーロッパのチョコって苦めでビターなイメージがあるけど、Milkaはちょっと違う。
甘くて、クリーミーで、食べやすい。
ガチで子どもからお年寄りまで愛されてる系チョコなのだ。
Milkaが1ピース欠けたチョコを作った理由|仕掛けのテーマは“つながり”
2013年、フランスのMilkaがとある異色のキャンペーン「The Last Square」を始めた。
なんと、板チョコからわざと1ピースだけ欠けた商品を出荷したんだ。
で、その欠けた1ピースは——
なんと、 誰か“あなたが指定した人”に送れる という仕組み。
つまり、「自分が買ったチョコの最後の1ピースを、誰かにプレゼントする」ってこと。
これだけ聞くとただの粋な演出っぽいけど、ここにマーケティングの巧妙な設計が詰まってる。
- まず、「1ピース分、欠けている」という違和感が消費者の注意を引く
- 次に、「それを誰かに贈れる」という体験で感情的なつながりが生まれる
- さらに、贈られた側も「なにこれ!?」ってなってブランドの話題が二次拡散する
そう、これはただのギミックじゃなくて、“愛とシェア”をテーマにしたブランド体験だった。
実際のプロモーションでは、板チョコについてるコードを専用サイトに入力すると、欠けた1ピースをMilkaがパープルの箱に入れて郵送してくれるというシステムだったらしい。
これがもう、フランスで大バズリ。
しかもSNS全盛期にこの仕掛け。そりゃ拡散する。



1ピース欠けてるのに、逆に「完全体」に見えるのズルすぎんか?
チョコが欠けてるのに好感度爆上がり!?常識を覆したMilkaのマーケ戦略


まず大前提として、チョコレートに限らず商品って「完成品」であることが命なんだよな。
きれいな包装、整った四角、欠けひとつないパーフェクトな姿。
そういう完璧さが、高品質である証だった。
でもMilkaはそれをまるごと裏切ってきた。
1ピース足りない板チョコなんて、普通に考えたら「不良品」。
「え?足りてないやん」ってクレームものだ。
だけどMilkaは、その“欠け”をストーリーに変えた。
たとえばあなたの元に、1ピースだけのMilkaチョコが届いたとする。
箱にはこう書いてある。
「このチョコは、あなたが最後のピースだから、まだ完成していません。」
この言葉は、「あなたがいることで、世界が完成する」っていう意味の愛情表現。
恋人でも、家族でも、友人でもいい。
「あなたの存在が私にとって特別だよ」っていうのを、欠けたチョコというユニークな形で伝えるわけ。



なにそれロマンチックすぎて溶ける。
しかもこれ、ただのキャッチコピーだけじゃなくて、ほんとに欠けた状態で売ってる。
で、欠けたピースは? ってなると、ちゃんと箱の中に小さな文字が入っていて、専用サイトにそのコードを入力すると、その欠けたピースを誰かに贈れるようになっている。
つまり、チョコは「贈る前提」で作られてる。
足りないのは不良じゃなくて、“余白”なんだよな。
そう考えると、このキャンペーンって商品自体に「感情」と「関係性」を埋め込んでるんだよ。
食べるものじゃなくて、贈るもの。
これって、パッケージとか広告じゃなく、チョコそのものがメッセージになってるってことでしょ? そりゃすごいわ。
これは 広告代理店Buzzman(バズマン) が企画し、かなり話題になったキャンペーンだった。
【反響とバズの全貌】たった1ピースがSNSで話題になった理由とは?
この「The Last Square」キャンペーン、仕掛けたのはフランス・ドイツ市場だけだったにもかかわらず、瞬く間に世界中に広がった。
広告・マーケティング界隈では「伝説的事例」として今も語られている。
何がそんなに人の心を掴んだのか?実は、数字が裏付けている。
Milkaはこのキャンペーンで専用マイクロサイトに 80万件以上の訪問 を記録し、送付された「最後の1ピース」は 50万件以上 に上るという報告もある。
そして、プレス掲載数は117か国・700件超、広告価値だけで130万ユーロ相当というデータも。
更に、WARCのケーススタディによれば、売上が33%増という報告まで出ており、ブランドイメージだけでなくビジネス成果としても実を結んでいた。
この数字だけでも「ただ遊びで欠けさせた」わけじゃないことが読み取れる。
要するにこのキャンペーンは、ただ「チョコが欠けてる」っていう視覚的な違和感から始まり、その違和感を「誰かへの贈り物」という感情体験へと昇華させた。
製品そのものを広告に仕立て、消費者を参加者に変えたその手法が、新しいマーケティングの金字塔を打ち立てたわけだ。



たった1ピースの欠けが、こんなにも世界中の心を満たすなんてな……
Milka商品・関連チョコレートはこちら
あの欠けチョコはその後どうなった?似たキャンペーンと時代への影響も紹介
Milkaの「The Last Square」は、単なる単発企画じゃ終わらなかった。
その後、各国の広告代理店やメーカーがこぞって「物理的に“欠け”をつくる演出」をパク……インスパイアしはじめたんだよな。
たとえば、あえて欠けた状態のパズルを売るとか、開けないと中身が完成しないパッケージ、送られてはじめて意味がわかるギフトカード。
こういう受け手がいて完成する形式のキャンペーンが一時期ちょっとしたブームになった。
中でも団子的に印象的だったのは、ドイツであった「見えないチョコ」キャンペーン。
チョコの形はそのままだけど、パッケージに一切何も書かれていない。どの味かわからない。誰かに贈る前提で、メッセージを書いて初めて完成する——ってやつ。
あれも、完全に「The Last Square」の文脈の延長線上だったと思う。
じゃあ今の時代、こういうキャンペーンはどうなるのか?
結論:むしろ、今こそ必要かもしれない。
SNS時代って、なんでも過剰になりがちじゃん。
バズらせようとしてド派手にしすぎて、逆にスルーされたり、炎上したり。
でもMilkaのこの企画って、むしろ足りないことの価値を見せてくれた。
「欠けている」って、ネガティブなようでいて、「余白」「優しさ」「贈るという行為」に変換できる。
情報も物も過剰なこの時代だからこそ、こういうシンプルだけど刺さる仕掛けが、改めて心に残るんだろうな。
まとめ:たった1ピース欠けてるだけで、全部違って見えるって話
Milkaの「The Last Square」キャンペーンは、ただの欠けた板チョコじゃなかった。
そこには、「誰かに届ける」という人とのつながりと、「あなたがいるから完成する」というメッセージ性が詰まっていた。
企業の広告って言うと、派手に目立ってなんぼみたいなイメージあるけど、この企画はむしろ「欠けてる」ことで注目を集めたのがすごい。
しかもその欠けた部分は、物理的に“あなたが贈ることで完成する”っていう、めちゃくちゃロマンチックでよくできた設計。



「足りない」って、こんなに美しくなるんだな。
なんでも満たされてる時代だからこそ、わざと“欠け”を残しておくことで、そこに人の気持ちが流れ込む余白が生まれる。
広告の話だけど、人生もそうかもな。
というわけで、今回はヨーロッパのチョコブランド・Milkaが仕掛けた1ピース欠けた板チョコの意味と、そのマーケティングの妙について語ってみたぞ!
またこういうエモい海外キャンペーン見つけたら、団子的に深掘りしていく予定!
チョコ食べながら、君もぜひ足りないものの美しさを味わってくれ。
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