今回のお話は『奇跡の人』。
「人間を生き返らせる男」が、まさかの事件の容疑で捜査対象になる――
そんないかにもXファイルらしい矛盾のかたまりみたいな事件が発生。
舞台はアメリカ南部、神の奇跡を信じて集まる信者たちでにぎわうテント型の巡回教会。
「触れるだけで人を癒せる」という力を持つとされる少年サミュエルは、かつて死者を蘇らせた奇跡の少年として町の英雄だった。
だが数年後――
彼の“手”に触れた人々が、次々と原因不明の死を遂げていた。
神の力なのか?それとも思い上がった人間の暴走か?
あるいは――本当に蘇った者の呪いなのか。
スカリーはいつも通り冷静に疑い、モルダーは「実はほんとに奇跡だったら面白くね?」と妙なワクワクを見せる。
⚪︎👨💼 フォックス・モルダー
FBI捜査官。超常現象やUFOに強い関心を持つ「信じる者」。頭脳明晰で観察眼は鋭い。
⚪︎👩🔬 ダナ・スカリー
FBI捜査官。モルダーの相棒。医学の博士号を持ち、科学的なアプローチで事件に挑む「疑う者」。
⚪︎🙏サミュエル・ハートリー
「癒しの力」を持つとされる青年信者。実際に人々の病を治してきたが、逆に神を装った偽者と疑われることに。
⚪︎👴 カルヴィン・ハートリー
サミュエルの父で、教会を率いる牧師。かつては息子は奇跡の子と誇っていたが、事件が起きるにつれ態度が揺らいでいく。
⚪︎🕴️ ディープ・スロート
モルダーに接触してくる謎の男。政府の機密を知っているらしいが、何を企んでるのかは一切不明。
⚪︎📂 Xファイル課
FBIの中で「超常現象事件」を扱う部署。組織内では冷遇されがち。
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Xファイル『第18話:奇跡の人(Miracle Man)』ネタバレあらすじ

癒しの奇跡で死人が出る!?
舞台はテネシー州の小さな町。
地元の信仰集団では、かつて死者を蘇らせたとされる奇跡の少年サミュエル・ハートリーが、今や17歳になり「触れるだけで癒せる」と信者に崇められていた。
しかしその彼が、ある男の死に関与している可能性が浮上。
その男はサミュエルの治療を受けた直後に死亡していた――。
モルダー&スカリー、教会の奥に突っ込む
FBIに依頼されたモルダーとスカリーは現地へ。
モルダーはすでにサミュエルの過去の「奇跡」を知っており興味津々だが、スカリーはいつも通り「そんなんで人が生き返るわけないでしょ」と冷静。
しかし、捜査を進めるうちにさらに不可解な事態が発覚。
なんと別の信者までもが、彼の祈りのあとに死亡していたのだ。
蘇ったはずの男が…亡霊として現れる?
さらに衝撃の展開。
サミュエルの“奇跡”で数年前に生き返ったとされる男が、なんと幽霊のように何度も目撃されていた。
その男は「自分は本当は死んでいて、蘇ったのは神の意志ではなかった」と語る。
つまりサミュエルの“奇跡”自体が、人智を超えた領域に踏み込んでいた可能性が出てくる。
教団内の闇と父子の対立
教団のトップはサミュエルの父である牧師のハートリー。
彼はかつて息子を奇跡の証人として祭り上げていたが、今や暴走し始めた息子に恐れと不信を抱いていた。
サミュエル自身も、「自分は人を救えると思っていたが、違ったかもしれない」と揺れ始める。
その迷いの中で、彼は保安官に連行されてしまう。
クライマックス:暴走する“信者”の正体
最終的に、人々を死に至らしめていたのはサミュエルではなかった。
教団の関係者が“神の意志”を盾に自ら毒を盛っていたのだ。
信仰が、教団内の歪んだヒエラルキーを正当化し、誰もが「神がそう望んだ」と言えば何でも許されてしまう恐ろしさ。
モルダーとスカリーは車に乗り込もうとしていた途中、モルダーは妹らしき人影を見る。
Xファイル『第18話:奇跡の人(Miracle Man)』感想・見どころ
「奇跡の少年」が引き起こす信仰の暴走
今回のXファイル最大の見どころは、“癒しの力”を持つ少年が、逆に人の命を奪っているかもしれないという逆説的な構図。
本来なら人を救うはずの奇跡が、人を苦しめることになる――
単なるオカルトではなく、「信仰」が暴力や支配にすり替わりうる怖さを突きつけてくる。
特に後半、サミュエルの力を信じきれなかった信者のひとりが暴走し、「神への冒涜だ」と決めつけて制裁を加えるという、まさに信じる力が壊れていく瞬間が描かれる。
奇跡で救われたはずの人が語る、もう一つの真実
サミュエルの“奇跡”によって生き延びたとされる男性が、
後にこんなことを語る。
「自分は本来、ここにはいないはずだった。戻ってくるべきじゃなかったんだ。」
…って、怖すぎか。
もし復活そのものが本人にとっては苦しみだったとしたら――
それは本当に奇跡なのか?
癒し手が犠牲になるという、やるせない皮肉
物語のラストでは、サミュエルが誤解と偏見によって命を奪われる。
彼が人を傷つけたという明確な証拠はなく、むしろ真犯人は別にいた。
にもかかわらず、独りよがりな正義感を振りかざした者の手によって、彼はこの世を去ることになる。
「奇跡を起こす者」だからこそ恐れられ、裁かれる。
これはもうオカルトじゃなくて人間の怖さそのもの。
Xファイル『第18話:奇跡の人(Miracle Man)』制作背景
異色の宗教×奇跡エピソード
『ミラクルマン』は、Xファイルの中でも珍しく、超常現象そのものより信仰の力とその影響を描いた回。
制作チームは、この回で神に救われる者と救われない者、さらに信じたことで壊れてしまう人々という重めのテーマに挑戦している。
焦げ団子「奇跡」を科学じゃなくて物語として描いた、Xファイルの中でもかなり異質な回だったんだな。
サミュエルのキャストは出世した
癒しの少年サミュエルを演じたスコット・ベアストウは、当時まだ駆け出しの俳優。
その後もTVドラマを中心にキャリアを築くが、Xファイルで見せた不思議なカリスマ性は高く評価された。
少年役なのに、どこか大人びた不穏さと神々しさが同居しているのが、この回を成立させている一因。
👀 制作陣が描きたかった“危うい信仰”
クリス・カーターはこの回について:
アメリカでは癒しの力やミラクルといった宗教的現象が時折話題になる。でもそれが“絶対の真実”として扱われることに、警鐘を鳴らしたかった。
とインタビューで語っている(※英語圏資料より)。
つまりこの回は、超常現象を信じる側の危うさを描いた問題提起だったともいえる。
まとめ Xファイル『第18話:奇跡の人(Miracle Man)』
『ミラクルマン』は、Xファイルの中でも特に静かに重いエピソードになっている。
モンスターもUFOも出てこない。
だけどそのぶん、人間の信じる心がどこまでも暴走していく様子が描かれていて、なんとも言えない後味の悪さが残る。
奇跡を起こしたとされる少年が、いつしか人を傷つけたと疑われ、その末に命を奪われてしまうという皮肉。
本当の原因は、信じる側の勝手な期待と勝手な失望だったのかもしれない。



奇跡ってのは、起こることそのものじゃなくて、
それを信じて、壊れずにいられることなのかもしれない。
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