『Xファイル』といえば宇宙人や怪物のイメージが強いけど、第12話「炎(Fire)」はちょっと毛色が違う。
テーマは パイロキネシス=発火能力。しかも超常能力そのものよりも、「モルダーの個人的な弱点」と「過去の女性との因縁」が絡む人間ドラマとして仕上がっているのが特徴だ。
物語はイギリスでの不可解な焼死事件から始まる。周囲に延焼も火の手もないのに、人が突然炎に包まれて命を落とす。
その調査にアメリカへやって来たのが、モルダーの元恋人にして英国シークレット・サービスの捜査官フィービー・グリーン。
焦げ団子スカリーとの微妙な三角関係!!
「人が自然発火する」という派手な超常現象と、「モルダーの過去」「火への恐怖」という内面的なテーマががっちり組み合わさった、シーズン1でも印象的な回になっている。
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⚪︎👨💼 フォックス・モルダー
FBI捜査官。超常現象やUFOに強い関心を持つ「信じる者」。頭脳明晰で観察眼は鋭い。
⚪︎👩🔬 ダナ・スカリー
FBI捜査官。モルダーの相棒。医学の博士号を持ち、科学的なアプローチで事件に挑む「疑う者」。
⚪︎🔥 ボブ/セシル・ライヴリー
一見親切で控えめな使用人だけど、実は火を自在に操る放火魔。優しげな表情で近づいてきて、油断した瞬間に火をつけてくるその裏切り型サイコっぷりが怖すぎる。
⚪︎💃 フィービー・グリーン
ロンドン訛りのキレッキレ英語で登場する、モルダーの元恋人。なんかもう最初からできる女オーラ全開で、スカリーの横に立つと空気がギスギスする。
⚪︎🕴️ ディープ・スロート
モルダーに接触してくる謎の男。政府の機密を知っているらしいが、何を企んでるのかは一切不明。
⚪︎📂 Xファイル課
FBIの中で「超常現象事件」を扱う部署。組織内では冷遇されがち。
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Xファイル『第12話:炎(Fire)』ネタバレあらすじ


イギリスからの依頼
ロンドンで不可解な焼死事件が続発。被害者は突如として炎に包まれ、周囲に延焼の痕跡がないまま死亡していた。
モルダーの旧知の英国シークレット・サービス捜査官、フィービー・グリーンがアメリカにやって来て捜査を依頼する。
モルダーにとっては元恋人であり、いきなり仕事とプライベートが交錯する展開に。



絶妙に嫌な女なんだよなあ
超常の容疑者
容疑者はパイロキネシス(発火能力)を持つとされる男、ボブ・ライヴリー。
彼は屋敷の庭師に偽装して標的の屋敷に出入りしており、恨みや快楽のために超常的な能力で人を焼き殺していた。
モルダーのトラウマ
モルダー自身は過去のトラウマから「火」に強い恐怖を抱いていることが明かされる。
冷静に見えるモルダーが、発火現場に立ち尽くし動けなくなる姿は珍しく、スカリーが支える関係性が際立つ。
スカリーの複雑な心境
フィービーの存在はスカリーにとっても複雑だった。彼女がモルダーを挑発するように振る舞うため、普段は動じないスカリーも揺れる。
仕事上のパートナーとして以上の感情が芽生えつつあることを暗示するエピソードでもある。
ラストの炎
屋敷に火を放ったライヴリー。猛火に包まれる中で子どもを救い出すため、モルダーは恐怖に震えながらも炎へ飛び込む。



火に焼かれながらも必死に救助する姿はこの回の一番の見どころ!
結果的にライヴリーは取り押さえられるが、モルダーの恐怖心は完全には克服されずに残る。
Xファイル『第12話:炎(Fire)』感想・見どころ
モルダーの株、大暴落回
普段は切れ者で直感力も鋭いモルダーだが、この回では完全に男としての弱さを晒してしまう。
元カノ・フィービーが登場した途端、視線も態度も彼女に持っていかれ、事件の捜査に集中できていない。



見てられないほどデレデレ
スカリーが真面目に証拠を洗っている横で、彼は恋愛モード全開。
しかも火災現場に飛び込む勇敢さを見せたのも束の間、結局は煙に巻かれて咳き込み、消防士やスカリーに助けられる羽目になる。
観ている側からすると「お前いままでのかっこよさどこ行った!?」と突っ込みたくなるが、その人間くささこそがモルダーをただのヒーローにさせない魅力にもなっている。
スカリーの嫉妬と有能さ
「炎」というタイトルは放火魔の能力だけでなく、スカリーの嫉妬の炎をも示している。
彼女がモルダーとフィービーのやり取りを遠目に見つめる表情は、言葉以上に複雑な感情を物語る。
恋愛感情か、同僚としての不満か、それともその両方か——曖昧に描かれるからこそ余計に刺さる。
そして最後には彼女一人で容疑者を特定し、追い詰めて解決に導くという仕事での圧倒的な勝利を収める。
嫉妬の炎を抱えつつも、冷静にプロとして役割を果たすスカリーの姿は、むしろ彼女の株を爆上げする回と言える。
放火魔の不気味さ
犯人の放火魔は単なるサイコパスではなく、親切そうに人に近づき、信用を勝ち取ってから一気に地獄へ突き落とすタイプ。
表面上は穏やかな笑みを浮かべつつ、内面には火を操る異能と残虐性を抱えている。



この二面性が恐ろしすぎる
特殊能力がメインテーマのXファイルにあっても、こうした人間の顔をした怪物は群を抜いて怖い存在だ。
フィービーの火傷する女ぶり
モルダーを翻弄する元カノ・フィービーは、ただの悪女で終わらない。
彼女はモルダーにとって未練と弱さの象徴であり、捜査の集中を乱す最大の存在だ。
しかもモルダーが火に巻かれて苦しんでいる時に、助けもせず放火魔を褒め称えるという衝撃の行動に出る。
その冷酷さは視聴者から見ても「おいおい!」と怒りが湧くレベル。
彼女はまさに火傷する恋の象徴であり、モルダーを試す存在として描かれている。



フィービーの存在でスカリーとの信頼関係も際立つ!!
制作背景:英国の香りと、嫉妬の炎の裏側で
この回はちょっと異色で、舞台がロンドンから来た元カノってだけで一気に空気が違う。脚本を書いたのはクリス・カーターではなくクリス・カーターの知人脚本家(Howard Gordon & Alex Gansaコンビ)。
この二人はのちに『24 -TWENTY FOUR-』や『HOMELAND』にも関わる、ガチのサスペンス職人。
で、彼らが「スーパーパワーを持った犯人 × 元カノの出現 × モルダー大暴走」という3本立てでぶっ込んだのがこの話。
ちなみに放火魔役のボブ/セシル・ライヴリー役(マーク・A・シェパード)は、後に海外ドラマ『SUPERNATURAL』などでも有名になる名脇役。
火の能力に関しては、特殊効果がまだそんなに進化してなかった時代にしては結構頑張ってた。モルダーが燃え盛る屋敷に飛び込むシーン、あれ実はセットの中で本当に炎が迫る中で撮ってるんだってよ。
あと裏設定として、「炎=スカリーの嫉妬」ってのは制作陣も意識してたらしく、脚本会議でも「これはスカリーにとっての内なる火だ」って言われてたとか。



やっぱり…公式でも嫉妬の炎やったんや……!
Xファイル『第12話:炎(Fire)』まとめ
『炎』は、恋と炎と大失態。
いつも冷静なモルダーが女に振り回され、嫉妬に燃えるスカリーが無双するという、シリーズでも珍しい「スカリー圧勝回」だった。
事件そのものよりも、人間関係のドロッとした部分に焦点が当たってて、「超常現象の影で、人間関係こそが一番厄介」っていうXファイルらしさが滲んでる。
放火魔の能力も怖いけど、それ以上に怖いのは「無邪気な顔してモルダーの心をぐちゃぐちゃにしてくるフィービー」かもしれん。視聴者全員がスカリーに肩入れしてたはずだ。
これはXファイルにしては珍しく、「炎上する恋愛」が主役だった。
あの火の中にモルダーの冷静さ、全部焼かれたと思う。



次はちゃんとスカリーだけ見とけよ、モルダー。ほんとに。
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