今回から始まりました。団子のおでかけレポ。
今まで内向きの企画(本のレビューとか雑学とか)ばっかだったのでそろそろ外で企画やってみたいなーと思い、ま、ふつーの観光地だと面白くねーので、近所で色々探してたところ――ありました。「日吉の森 庭園美術館」。
ここは横浜市の地区、日吉にあるマイナーな美術館。
あとで詳しく説明するが、元・彫刻家の田邊光彰さんの作成したアートや生前住んでいた庭を見ることができた。
Google評価では★4.2の実力派。
へぇ〜と思って軽い気持ちで行ってみたら、いやこれ…普通に良すぎるやつだった。
では、早速紹介していきますか•••とその前に。
美術館に向かう途中でこう書かれた張り紙があったのよ。
「メダカ 無料で差し上げます」

いやいや、急にどうした。おでかけレポの第一弾でメダカ差し上げられても困るんよ。
……と思いつつ通り過ぎたら、次は人が住んでるのか微妙な民家と遭遇。
からの、突如現れる苔むした石畳と、きっちり手入れされた竹林。

何だこの竹林。伊右衛門のCMロケ地か何かか?
情報量の落差がすごい。日吉、情緒のジェットコースター。
そうしてたどり着いたのが「日吉の森 庭園美術館」。

展示室は元・彫刻家の田邊光彰さんの住居で、いい意味で展示館感がない。
展示館っていうより「アートな人ん家におじゃましてる感」がすごい。
エアコン完備。虫よけスプレー貸出あり。予約時間指定制で客は自分一人だった。

……最強のインドア派向け美術館、ここにあった。
🌲【日吉の森 庭園美術館】訪問記 - 緑と蜘蛛と団子の静かな戦い


最初に突っ込んだのは、美術館に併設された庭園。受付のお姉さんが笑顔でひとこと。
「蚊が多いので、気をつけてくださいね〜」
って言いながら渡されたのが、虫除けスプレー+虫コナーズ。



…え、ここってアート鑑賞じゃなくて野営訓練所なんですか?
まあ団子は蚊に嫌われるタイプなので、虫たちには完全スルーされて圧倒的勝利。
蚊を引き寄せるフェロモンがゼロなのが功を奏した。






庭園は予想以上に森。
落ち葉でふかふかの地面、上を見れば蜘蛛の巣がアート作品みたいに張り巡らされてて、途中で気づいたら自分の日傘に蜘蛛が搭乗してた。



勝手に乗んな


しかもこの後の古民家エリアでは、直径10センチ級の蜘蛛がガラスに張り付いてドヤ顔。
屋内展示にもまさかのスズメバチの巣(本物)。
これ「自然との共存」っていうより、「生物兵器と芸術の二刀流」だろ。
でもなぜか、全体的に整ってるから不快感はない。不思議と落ち着く。



自然×芸術×サバイバル、三位一体の美術体験だった。
🏠 田邊家の古民家:500年の記憶と大正ガラス


庭園を抜けると、田邊光影さんが実際に住んでいた古民家。
この空間がすごい。なんていうか…「現存するぼくの夏休み」って感じ。
縁側、土間、倉、仏間、全部揃ってる。
中は暑くて貸してもらったうちわで仰ぎながら学芸員の方が案内してくれた。


学芸員さんの丁寧な案内で知ったんだけど、この田邊家、実は500年以上続いてる旧家らしい。
ただ、500年前に火事で一度焼けちゃって、今の家は築140年ほど。
…って聞いたとき、「いやいや140年経ってこの状態!?」と目を疑った。
中は驚くほど綺麗で、特に仏間の天井がヤバい。
木材がキラッキラに光ってるの。
聞けば、「かなり上質な素材を使ってる」とのこと。そら輝くわ。
ちなみに、この家を解放するに至ったのは、相続税や固定資産税の壁があったかららしい。
今展示を担当してるのは13代目、そしてこの日、案内してくれたのは15代目の方。(つまりガチのご子孫。血筋つよすぎ)
展示には仏壇や陶器の湯たんぽや人間国宝の芹沢銈介の描いた絵など、生活してた時の使用物がそのまんま残ってる。
縁側のガラスには「大正ガラス」が使われていて、これが割れたらもう二度と同じものは作れないらしい。
…っていうプレッシャーMAXの展示空間なのに、どこか落ち着く、古民家のぬくもりが残ってた。



大正ガラスって今のガラスと違ってよく見ると歪んでるんだよな。
🌾 美術館展示:イネとノギのアートと種子保全
古民家を出て向かったのは、敷地内にある美術館。
ここでも受付の方が丁寧に案内してくれた。



こっちはクーラー完備。ありがたい
一見、昔ながらの地域密着型アート施設かと思いきや、展示されていたのは“ノギ”や“イネの原種”をテーマにした現代アート。
展示の中心となっている田邊光彰氏は、植物の“原種”を残すことに強い意義を感じていたそうで、イネという身近な存在を、ただの農作物ではなく「文化と命の記憶」として再構成する活動をしていたらしい。
これがその田邊さんが作成した稲の原種を模した現代アート↓


おわかりいただけただろうか?
普通の稲はこんな形をしてると思うが↓


原種の方は粒の数(米になる部分ね)が1つだけなのである。



実際は原種にも数粒できることもあったらしいができる数は極端に少ないみたいだ!
今のお米って、もちもちしてて炊き上がりもツヤッツヤで、「白米こそ正義」って感じだけど、もともとのイネって、もっとワイルドだったらしい。
粒は細くて、すぐ落ちて、育てにくい。味も素朴。でも人間がいなくても勝手に生きていけるタイプ。
一方、今のコシヒカリとかは、完全に人間に甘やかされて育ったエリートみたいなもん。
でもさ、そういう野生児たちをちゃんと保存しとかないと、世界が干ばつとか疫病とかで詰んだとき、詰む。ほんとに。
だからいま、地球上の原種のタネはノルウェーの地下、スヴァールバル国際種子保存庫って場所に冷凍保存されてる。



世界の終わりでもタネを守る倉庫として知られてるやつな
で、ここがすごいんだけど──
この美術館の作家・田邊光彰さんの作品の一部が、そのスヴァールバルに実際に飾られてるって話。
つまりこの美術館、ひっそり横浜の住宅街にありながら、人類のバックアップ作戦にちょっとだけ参加してる。
展示されてた原種のイネも、私たちが知ってるあのお米とは別物。
細くて、尖ってて、野性味MAX。
「最初に地球に生えてたやつ」がこれか…という感覚になる。なんかこう、恐竜の隣でそよいでそうなやつ。
🎋 まとめ:古民家とアートを味わえる穴場スポット
静かな庭園、虫、そして元・彫刻家の生活感が残る展示室。
地味に見えて、実は中身が濃い。
土の匂いとエアコンの風が同時に感じられる場所ってそうない。
散歩がてら立ち寄るもよし、静かな場所で人を避けたいときに避難するもよし。(ちょい駅からは離れてるが。。)



派手な展示はないけど、静かなまま印象に残るタイプの場所。
【日吉の森 庭園美術館】おすすめポイント!
•築140年の古民家と縁側で、リアル『ぼくの夏休み』を味わえる
•木漏れ日と蜘蛛の巣と蚊との三つ巴バトルを体験できる庭園つき
•彫刻や書、陶芸まで幅広い展示で「田邊光影って誰?」から「もっと知りたい」になる構成
•受付・案内スタッフが親切すぎて逆に緊張するレベル
さらに季節によってはタケノコ狩りなどのイベントも開催されており、芸術と自然と“里山の暮らし”がミックスされた不思議な癒し空間になっているぞ。



懐かしい夏の空気を感じたくなったら、ぜひ訪れてくれ!
アクセス情報
日吉の森 庭園美術館
〒223-0062 神奈川県横浜市港北区日吉本町4-1-1
東急東横線・目黒線「日吉駅」西口より徒歩約15分(※道中やや坂道あり)
または、東急バス「日吉駅」より約5分、「日吉台中学校入口」下車すぐ