「猿夢」――ネット怪談史上最悪の“終わらない悪夢”を冷静にぶった切る【焦げ団子流】

この記事では古くからネットで語り継がれる怪談「猿夢

その怖さの本質と構造を、焦げ団子的に冷静分析します(ネタバレ・刺激描写注意)。

猿夢の概要はこちら(wiki)→「猿夢」概要
【※グロ描写耐性のない人は本当に注意】


2chまとめ 怖い話 短編集47話 2ch洒落怖
→インターネット掲示板「2ch(現5ch)」に投稿された実際の体験談や都市伝説、
そして聞くだけで背筋が凍るような恐怖話を集めた一冊

目次

ネット怪談「猿夢」あらすじ(ざっくり焦げ団子流)

主人公が自分は夢だと気づきながら、なぜか陰気な無人駅から変な電車に乗ることに。
車内では謎のアナウンスとともに、後ろの乗客から順番にヤバい目に遭っていく――


夢の中だから逃げ切れると思っていたのに、
現実でもその悪夢は「また逃げるんですか~次に来た時は最後ですよ」と予告されて終わる。
(※詳細はWikiもしくは「猿夢 原文」で検索すると出てくるよ!)

発祥・ネットで有名になった経緯

「猿夢」は、もともと2ちゃんねる(現・5ch)オカルト板に投稿された怪談話。

2000年ごろ、「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」スレにて投稿された。

短いのにインパクト抜群で語り継がれる怪談の定番に。「ネット怪談」の原型を作った一つである。

「夢の続きを見てしまう」「夢から現実に侵食される」

という、現代人の不安感を盛り込んだのが特徴。

なぜ“猿夢”はここまで語り継がれるのか?【理不尽の恐怖】

焦げ団子的分析だと、“猿夢”の本質は「理不尽の連鎖」にある。

・自分の夢なのにコントロールできず、逃げ場がない

・謎のアナウンスに従って“自分の番”が迫ってくる

・どれだけ「これ夢だ」と理屈で思っても、体験だけはリアル

・「覚めても続きが来る」「現実でも声が聞こえる」という終わらなさ

・読み終わったあとも「これ、俺の夢でも再現されたら…」という感染力

つまり、“猿夢”は「頑張ってもどうしようもない恐怖=理不尽」に直撃してくるから、
人は本能的にこの手の話から逃げられない。

日常に侵食される恐怖

猿夢もきさらぎ駅も、

「自分は普通に生きてるはずなのに、突然“理不尽な異世界”に連れていかれる」のが共通点。

「夢」=本来、自分の安全地帯のはずが、むしろそこが最大の脅威になる。

しかも現実世界に「夢のアナウンス」が侵食してくる。

→ 「どこまでが現実?」という、
 本能的な境界線喪失の怖さ

きさらぎ駅とはネット発の都市伝説で、深夜の電車でたどり着いた謎の無人駅から現実に帰れなくなるというストーリー。こちらも2ch発祥。

脳内に焼き付くリアリティ・臨場感

舞台が「よくある無人駅」や「遊園地の猿電車」=誰もが見たことある光景

トンネルの紫の光、電車の生温かさ、妙に無感情なアナウンス

「自分の記憶」とごっちゃになるから、読後も夢の続きを見てしまいそうな錯覚が残る

夢を見ている「自覚」まで描写されている
→ 「これ、俺の夢でも起きそう…」という自己投影トラップ

理不尽の恐怖――「自分ではどうにもできない世界」

猿夢で一番えげつないのは、「こっちの都合や意思なんて完全無視で、恐怖が進行していく」とこ

主人公は「夢だと自覚している」「目が覚めたら助かる」と信じている
→ でも、最後は「いくら願っても夢から抜けられない

アナウンスに「順番」があって、自分の番が必ず来る
何も悪いことしてないのに、「理不尽な処刑」をただ待つだけ

この無力感と逆らえない運命こそ、本能的な怖さなんだよな。
努力や理屈で回避できない」って、現実でも一番恐ろしいやつ。

終わらない恐怖。「逃げてもまた来る、どこまでも追ってくる」

猿夢のもう一つの恐ろしさは「終わったと思った地獄が、ふたたび日常に忍び寄ってくる」ところ
夢から覚めて「やれやれ助かった」と思った4年後――続きから再開

「あれは夢だったから大丈夫」と思っても、現実でアナウンスの声が響いてくる。
最後の「また逃げるんですか?次に来た時は最後ですよ」で、
終わりが明言されず、不安だけが延々残る。

この「終わらない」という状態自体が、人間の心を一番疲弊させる。

「悪夢は目を覚ました後も完全には消えない。むしろ現実に侵食してくる
これが猿夢最大の地獄。

「猿夢」、焦げ団子的まとめ

ネットにはいろんな怪談があるけど、
猿夢がここまで語り継がれる理由は、
怖いことって、理屈抜きで人間を無力にする」ってことを思い知らせてくるから。

夢だから大丈夫、現実は違う――
そう思いたいのに、
「次に来た時は最後ですよ」って言われて、
どこまでが夢で、どこからが現実なのか」も曖昧になっていく。

要するに、“猿夢”は
「努力も祈りも意味をなさない理不尽」と、
逃げてもまたやってくる終わらない恐怖
この2本柱で人間の弱点にクリティカルヒットしてくる怪談。

だから読み終わった後も、
……まさか俺も次に来るんじゃねぇだろうな」と
心のどっかに残り続ける。

ま、正直、こんな夢、昔は何度も見た気がする団子も
でも今となっちゃ夢自体ほとんど見ないし、見ても朝には全部忘れてる。

あれだけ幼いころトラウマだった「猿夢」も、
気付けば平然と分析してレビュー記事を書く日が来ると思わなかった。

いや~、人間、年取るとだんだん図太くなるもんだな。
たぶん今猿夢を見ても、
すまん明日納期だから途中下車させて」って車掌に交渉してそうだわ。

まあ、実際に見ちゃった時は
「これが俺の番か…」って一言X(旧Twitter)に投稿でもしてから
二度寝してくれ。

……明日の朝には、きっと全部夢オチだ。
(そう願いたいよな?)


■関連書籍

ネット怪談の民俗学 (ハヤカワ新書)/廣田 龍平 (著)
→ネット怪談(きさらぎ駅、くねくねなど)の成立や伝播を、民俗学的に丁寧に分析。ネット時代の“怖い話文化”を俯瞰するならこれが最強ガイド。

2ちゃんねるの怖い話: 殿堂入り長編大作集 2ch洒落怖
→2ちゃんねるオカルト板の実際の投稿をまとめた本。猿夢と同じ“洒落怖”ジャンルを体感できる定番

■純粋な文学作品もレビューしてるのでよかったら見てね!

→【芥川龍之介 全作品レビュー・まとめページ】はこちら

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