【感想】夏目漱石『三四郎』――上京して気づく「自分の小ささ」と、恋の片想いが胸に刺さる話

目次

三四郎のあらすじ:東京に上京して「何もわかってない」まま翻弄される

上京したての世間知らず・三四郎が、東京という理解されない世界にぶつかりながら、恋と未熟さを通して成長していく――そんな物語。


上京して数年。いまだに駅構内で迷うことがある。
Googleマップを見て「こっちか?」と歩き出して逆方向、みたいなやつ。

最初の頃は本当にしんどかった。慣れない土地、知らない人、取引先にあちこち行かされる日々。

『三四郎』は、そんな上京あるあるから始まる。

熊本から東京へ出てきた青年・三四郎の目線を通して、東京の喧騒や距離感、人間の奥深さに触れていく。
で、この小説。明治の作品とか言いながら、めちゃくちゃ今っぽい。というか、刺さる。

そして自分もまた三四郎なんだと気づいた。


三四郎/夏目漱石 (著) 

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「何があるのかざっくり見たい」という方は、先にこっちから眺めてもOK。

【田舎から来た青年が、東京でボコボコにされる話】

熊本出身の世間知らず大学生・三四郎くんが、東京で大学生活スタート。
もう、右も左もわからん状態。とにかく人に気圧されっぱなし。

でも東京って、なーんか妙にこなれた人たちが多いわけよ。
男女ともに頭キレてて、なんか含みのあることばっか言うの。

――で、三四郎くん、完全に翻弄される。

【出会ってしまった、手の届かない女】

美人で知的でちょっと謎めいた女性・美禰子に出会う。

「この人、なんか特別…」って惹かれてくんだけど、美禰子さん、めちゃくちゃ意味深発言おばけ。

あなた、迷える子羊ね」とか突然言ってくる系。恋の距離感も絶妙に遠い。
「え、俺のこと好きなん? え、違うん?」みたいな揺さぶりだけ食らって、結局こっちは何も手に入らない。

【周りは何も説明してくれない】

東京の人たち、基本ドライ。何が正解か教えてくれない。
「あ、そういうの自分で察するタイプね」ってスタンス。

三四郎は人の言葉を一生懸命真に受けて、結果、空気読めないやつみたいになる。

【で、結局どうなったの?】

ラスト、ようやく気づく。「俺、なんか…何にもわかってなかったわ」と。
恋も人付き合いも洗練された都会のルールも、全部わかったふりしてただけだった――って痛い自覚。

「世間知らず」と言われる痛みが、東京で焦げていく理由

ところで団子も世間知らずと良く言われる。
自分では真面目にやってるつもりでも、周りはずっと先を走ってる気がして焦げる。

三四郎もそう。彼は田舎育ちの純朴青年。
東京の洗練された空気にのまれながら、少しずつ人間関係の距離感に戸惑っていく。

でも、なによりもリアルなのは、誰も彼に丁寧に説明なんかしてくれないってこと。
「察して動け」「空気読め」って無言の圧。…なんか見覚えあるな?

「報われない恋」に振り回される――三四郎と“片想いしかできない自分”の共通点

三四郎は、東京で出会った美しく知的な女性に惹かれる。
でも、恋がうまくいくかというと、全然そんなことない。

どこか距離があって、手を伸ばしても届かない感じ。
彼女の真意もよくわからないし、気づけば振り回されてる。

自分にもいた。ネットで知り合った、とても気さくで優しい人。
団子は本気で好きだったけど、相手は人気者で、きっと眼中になかった。

怖くて踏み込めなくてあっさり他の誰かのものになった。

まとめ:これは都会に潰される青春の全記録だ

こんなふうに、上京して都会のわけわからん波に迷うのは誰しも経験する。

でも三四郎は、それをきれいに隠さず、全部見せてくれる。
空回りして、失敗して、見栄はって、恋して焦げて…そのうちに、少しずつ「自分って何者か」が見えてくる。

とはいえ、周りは誰も「こうすればいいよ」なんて教えてくれない。
むしろ、黙ってニヤつきながら“試される”のが東京ってやつだ。

だから団子は言いたい。

三四郎って、ちょっと前の自分に似てる。そして、たぶんこれからの誰かにも似てる。

この物語は、恋愛小説でも青春小説でもなく、
東京というジャングルに放り込まれた世間知らずが、自分を発見する物語だ。

つまり――

都会で焦げる、その途中経過。
団子的には、むしろそこに一番の価値があると思ってる。


マンガで読む名作 三四郎/夏目漱石 (著), 上田しんご (著)

夏目漱石『三四郎』をどう読むか: 文芸の本棚 単行本(ソフトカバー)/石原 千秋 (編集)

三四郎/夏目漱石 (著) 

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