平成ネット文化遺産:2ちゃんねるの死語を発掘してみた

目次

インターネット老人会、開幕。

「キター!!!」


この言葉を見て、心が躍ったあなた。
ようこそ、インターネット老人会へ。

かつての日本ネット界は、今とはちょっと違う空気で満ちていた。

LINEもInstagramも存在しない、Twitterもまだバルスで止まる時代。

そこには、「モナー」や「ギコ猫」や「( ´_ゝ`)フーン」が、
まるで路地裏の落書きのようにひしめいていた。

そして、令和の今――それらは「死語」として分類される。

今回は、そんな2ちゃんねる文化の化石たちを、
ギリギリ2ちゃんねる黄金期を知るゆとり世代の団子が
愛と皮肉でそっと掘り起こしてみよう。


教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書/ばるぼら (著)

【死語その1】「キター!!!」はなぜ“死んだ”のか?

もはや伝説となった「キター!!!」。
登場したのは2004年頃、ドラマ『電車男』やAA(アスキーアート)文化全盛の時代だ。

「今彼女からメールきた」
→「キターーーーー!!」
→「うはwwwwおkwwww」

このテンションの上がり方、懐かしい人も多いだろう。

でも、今このテンションをX(旧Twitter)で出すと、
「古のネット民」認定されてしまう。

なぜ死語になったのか?
それは、言葉が流行りすぎたからだ。

爆発的に使われ、テレビでも使われ、芸人にもパクられ、
やがて、「それもう古いから」と若者に切り捨てられた。

流行語の死因の9割は“ブームになりすぎた”ことだ。


【死語その2】「モナー」とAAキャラたちの黄昏

     ∧_∧
 ( ´∀`) < モナー

見覚えある人は、かなりのベテラン。
AA(アスキーアート)の中でも特に人気だった「モナー」。

彼には仲間がいた。「ギコ猫」「しぃ」「ズコー」「やる夫」など…。

当時の掲示板は今のような画像・動画文化ではなく、
文字だけで笑わせるセンスの塊だった。

でも今、AAを見ることはあるだろうか?

スマホではズレるし、フォントによって崩れるし、
「笑えるテキスト文化」はYouTubeやTikTokに流れてしまった。

モナーは滅びた。

だが、その魂は今も「なんJ(なんでも実況板)」あたりで、時折かすかに響いている。


【死語その3】「( ´_ゝ`)フーン」=冷笑の起源

この顔、見覚えあるだろうか。
いわゆる「兄者AA」だ。

このAAには、明確な感情がある。
それは、“他人を小馬鹿にする態度”。

「で?」「フーン(鼻ほじ)」
「必死だな(藁)」
「クマーwwww」

2000年代の2ちゃんねるは、とにかくこの“冷笑文化”が支配していた。

「正論を言う奴はダサい」
「感情を出す奴は厨二」
「でも釣られる奴はもっとバカ」


――そうやって、すべてをネタに変えていったのが、あの時代だった。

今のなんでも炎上するSNS社会とは逆ベクトルの狂気だ。

でも、今のネットにも残っているこの冷笑性、
もとはこの顔が火元だったかもしれない。

【死語その4】「(笑)→w→草」進化論

ネットスラングの中で、もっとも長生きしているのが「笑い」の表現だ。

1990年代、まだガラケーもない時代、
掲示板で笑う時は「(笑)」が定番だった。

文章に「(笑)」を入れると、どこか大人の余裕や軽い皮肉の香りが漂った。

そして、2ちゃんねるが登場すると「w」が爆誕する。
「(笑)」を簡略化した、笑い声の記号だ。

「マジでワロタw」
「それなwwwwwwww」
「草生やすなwwwwww」

この「w」、もはや進化しすぎて「草」に変態した。

「草」=wが生い茂った様子(比喩)

今のZ世代は、「草」こそが笑いの最前線
「w?ダサくね?」という感覚すらある。※なお、団子は未だたまに使ってる

スラングの進化は、意味が変わったわけではない

ただ、時代のノリと文化圏が更新されただけなのだ。


【補足】なぜスラングは「死語」になるのか?

そもそも、スラングは寿命が短い

流行語と同じで、盛り上がった瞬間から死に始める。

その理由は主に3つ。

① ノリが“古くさく”なるから

若者文化は「逆張り」か「反体制」が基本。

「流行ってる」だけでダサくなる。
「キター!」も「おk」も、「流行りすぎて廃れた」

② 世代交代で訳が分からなくなるから

2000年代のスラングを、Z世代が見たらこう思う。

「うはwwwwおkww」→「なにこれ、読めん

使われなくなった時点で死語入りは確定する。

③ プラットフォームの文化が変わるから

昔はテキスト文化(2ちゃん・メール)だったが、
今はショート動画・ボイス・スタンプ・エモ顔。

スラングに文字力はいらなくなった
文脈より、テンポとエモが勝つ時代になっていった。


【まとめ】“死語”とは、ネットの記憶装置である。

「キター!」はダサくなった。
「モナー」はスマホで崩れる。
「w」は草に埋もれた。

でも、それで終わりじゃない。
死語たちはあの時代の空気を封じ込めた記憶装置なんだ。

そして今も、どこかの誰かがスラングを生み、
10年後には「草wwとかもう古くね?」と笑われる。

それでいい。

それが、インターネットってものだ。


2ちゃんねる AA大辞典/まるへそ太郎 (著), 2ちゃんねる (著)

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